2012/5/10

新調理システム機器を
理解し使いこなすために(2)

冷却調理について

講師

講師(株)スチコン塾 代表取締役 大関仁 氏
講師(株)スチコン塾 代表取締役 大関仁 氏

株式会社スチコン塾
代表取締役 大関 仁 氏

プロフィール:栃木県真岡市出身。飲食店勤務を経て、アルカントレーディング併設レストラン「トライアングル」料理長。味の素子会社アジレストランへ転職。ジェイアール東日本レストランへ出向、飲食店立ち上げの際、スチコンに出合う。(株)エフ・エム・アイで7年間コーポレートシェフを務め、コンサルタントとして独立。2000年レストラン「ラ・メゾン・ド・オオゼキ」開店。独自のノウハウ「冷却調理」を確立、8年後に閉店。スチコン調理研究のパイオニアとして活躍中。

冷却調理で菌を付けない

日本は常温を好む食文化であり、加熱すれば安全という神話があり、冷却についてはあまり意識されていません。加熱してすぐ食べるという状況であれば何も問題はありませんが、加熱から時間が経った時に問題が起きます。加熱調理して冷めて行くうちに周りにある菌が付着してしまうのです。これを「交差汚染」と言います。
食中毒防止の三原則は、
(1)菌を付けない
(2)菌を増やさない
(3)菌をやっつける
ですが、(2)の菌を増やさないためには、加熱後の急速冷却、保存温度が重要です。そのための仕組みが「冷却調理」なのです。安全な食を生み出すことはお客さまのためでもあり、私たちの存続意義でもあります。

冷却調理が生むおいしさ

冷却は、「粗熱を取る」「蒸発を抑える」という意味です。昔から調理場では安い時に大量に仕入れて調理し、氷や水で冷やしていました。しかし水で冷やすと水っぽくなったり、栄養価が損なわれたりします。温冷蔵庫に入れて30分置くのなら、加熱調理したものを冷却して65度まで下げればおいしい状態で出せるようになります。加熱した後、必ずそこに介在するのは蒸発。5分後に調べると余熱で5度上がります。蒸発を止めるには余熱を取れば良いのです。例えば50人分を焼いてそのまま放置したら、おいしさが蒸気と一緒に逃げて行きます。100度以下にすれば蒸発は起きないので、粗熱を取れば良いのです。

冷却調理の定義とは?

新調理システムの中でも加熱後30分以内に冷却すれば良いクックチルに対して、より安全性とおいしさに焦点を合わせ、加熱後すぐに冷却することで、食材の水分や香りを逃さず、おいしい料理を提供できる方法論のこと。

ブラストチラーSeries - New Cooking System
ブラストチラー
Series - New Cooking System

冷却調理の目的

1.安全性の向上
急速冷却により、菌の増殖しやすい温度帯(イラスト参照)を素早く通過させる。

2.おいしさと品質のアップ
急速冷却により、食材の風味、旨み、香り、水分を逃がさず、おいしくきれいに仕上がる。

冷却調理の効果は次の4つが挙げられます。

食中毒危険温度帯
食中毒危険温度帯

Tasty おいしさアップ

今まで蒸気と一緒に逃がしていたうまみ、香り、水分などを逃さずに閉じ込める
安全な温度帯(75度や85度)まで加熱してもすぐに冷却するので、余熱によるオーバークッキングを防止し、硬くならずジューシーに仕上がる

おいしさアップ
おいしさアップ

栄養価の損失を防ぐ

検証試験
検証試験

(2)Time 時間の短縮

加熱調理後の食品をすばやく冷却することで、粗熱取りにも最適。冷却作業時間を削減し、作業効率をアップ

(例)ハンバーグの炒め玉ねぎ
(例)ハンバーグの炒め玉ねぎ

(3)Space 空間の活用

従来の調理は、ヨコ型調理で広いスペースが必要だったが、冷却調理でスチコン、ブラストチラーを使用した場合、タテ型調理となり、省スペース化できる

空間の活用
空間の活用

(4)Safety 安全性の向上

菌の増殖温度域を素早く通過するので、安全、安心
落下細菌の付着や虫、異物の混入も防げる
芯温計がついているので、温度と時間の管理(TT管理)をしながらの冷却が可能

厚生労働省が出している『大量調理施設衛生管理マニュアル』には、「加熱調理後、食品を冷却する場合には、病原菌の発育至適温度帯(約20〜50度)の時間を可能な限り短くするため、冷却機を用いたり、清潔な場所で衛生的な容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20度付近(または60分以内に中心温度を10度付近)まで下げるよう工夫すること」と書かれています。 英国保健省が出している『クックチルシステムのガイドライン』では、「90分以内に3度まで冷却すること」と書かれています。
 

終わりに

私は現在、障がい者の人たちの就労支援で新調理システムを使った自立を目指しています。調理をパーツに分けて後で一体化する方法です。調理に関わったことで、早く働きたいと願う人が増えたと聞いています。彼らの潜在能力を引き出すためには、新調理システムが一番役に立つのではないかと考えています。皆さんも今一度、「今自分がしていることはどんな調理理論に基づいているのか」を考えてみてください。



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