2009/7/8

宮内庁御用達「青山」の
HACCP対応工場見学で職人の心意気を知る

新宿支部

6月24日、新宿支部は川崎市高津区にある懐石料理や弁当を製造・販売する「青山」の菊露居(ルビ:きろい)工房見学会を行った。同社は宮内庁御用達の称号を受けている。「菊露居」とは、中国語の造語で「一番高貴な食べ物が作られる場所」という意味だそうだ。同工房は「大手調理ラインと手作り厨房の調和」をコンセプトに6年前に建設され、(社)日本弁当サービス協会のHACCP高度化基準の認定を取得している。交差汚染、二次汚染防止を考慮し、人やものの流れを一方通行にしている様子や、工場内の床を赤、黄、緑に色分けし、それぞれ汚染区域、準清潔区域、清潔区域として明確化していること、塵埃の飛散や結露の発生に考慮して空調・換気設備を適切に配置し、清潔さを保っている様子を見学した。
工場内の案内役を務めた同社の池田尚弘代表取締役社長は「従業員の衛生意識を高めることが何よりも大切」と語り、トイレや工房内の扉は手にアルコールを噴霧しないと開かないようになっていること、盛り付けの際には2種の手袋を2重にはめたり、保健所の担当者に覆面で工房内に入ってもらい、問題点の洗い出しや講習会を行うなどの取り組みを説明した。
同工房には寿司、和食、中華、洋食の各部署があり、各部に調理長を置いて味の追求に余念がない。調理には不純物をろ過し、安全で素材の旨みを引き出すRO水を使用しており、味見させてもらい、水道水と比較して無味であることを体験した。特に評判が高い煮物に関しては、コンニャク、ゴボウは鉄釜で煮ると真っ黒になってしまうことから、ステンレスと鉄の釜を使い分けているというほどのこだわりぶりだ。保冷車による配送に使う段ボールにも熱がこもらない工夫がされており、食品の安全性に留意する同社のポリシーを感じた。見学後、池田社長との質疑応答が行われ、参加者からは様々な質問や意見が寄せられた。
参加者は、「職人が調理するからこそ、おいしいものができるのだと見学して分かった」「ハードを作るだけでなく、衛生に対する1人1人の意識を高める教育が何よりも大事だと改めて感じました」と感想を述べていた。


TOPへ戻る