2010/6/3

Vol.17
吉田和男
Kazuo Yoshida
七面鳥のロースト クランベリーソース

上野精養軒
宴会部 料理長

Dinde rotie Sauce aux airelbs
Dinde rotie Sauce aux airelbs

【材料】

材料 分量
七面鳥(4~5kg) 1羽
(詰め物)
オニオン 200g
生パン粉 適量
鳥レバー 200g
バター 大さじ2
ゆでた栗 12個
粉末セ―ジ 適量
フォン・ド・ヴォライユ 適量
刻みパセリ 適量
適量
コショウ 適量

【作り方】
1. レバーは、30分間水にさらして血抜きをして刻み、塩、コショウする。
2. オニオンを刻んでバターソテーし、1を加える。
3. 生パン粉、刻みパセリ、セージを加え、白ワインとフォン・ド・ヴォライユにて固さを調節する。別に栗をソテーして加える。
4. 2.3を七面鳥に詰めてローストする。

(付け合わせ)
クレソン、小芋、ジュー、クランベリー

【料理について】
 この料理は一番大変だったけれど、残しておきたい七面鳥のローストのメニューです。私は精養軒に入社して38年になりますが、入社当時は婚礼が多く、1日10組~15組というのは当たり前で、朝5時から働いていました。
 その頃の精養軒スタイルの料理は、魚料理は伊勢海老が大半で、次に舌平目のような婚礼のコース料理が中心の宴会でした。肉料理は牛ヒレステーキか、牛ヒレの赤ワイン蒸し煮が多かったです。肉料理の後に口直しのソルベ、そして七面鳥のローストと続きました。
 七面鳥のローストは1人前で盛るのではなく、大皿盛りで10人前盛り付け、お客さまにサーブするのです。ウエイタ―も大変だったと思いますが、調理場も1日1000人前の婚礼の時には、1羽4.5kg~5kgの七面鳥を100羽焼かなくてはなりません。
 両面開きの8カ所のオーブンがあったのですが、一天板に4羽(約20kg)の七面鳥をのせ3回転しなければなりません。1回転に45分~50分位かかり、5分間おきにジューをかけながらですので、1時間はかかります。つまり、3時間の間休むことなく1人で焼くのです。その間魚料理の伊勢海老のグラタンも一天板に10人前しか入らず、100天板焼き上げるわけですからオーブンの中には何かしら入っていました。鴨、キジ、ウズラ、ヒナ鶏もよく焼きました。一羽の鴨などはモモ肉を交互に焼いて30分位で全体の火入れがみんな同じになるんです。これも先輩の仕事の知恵ですね。オーブンの温度は250~300度あったので、よくまつ毛まで焦がしたものです。
 何でもそうですが、料理をすることが好きでなければ長続きしませんし、お客さまを喜ばせることもできないのです。

【若い人へのメッセージ】
 私の若い頃のフランス料理は、素材が良くなかったせいか煮込み料理が多く、香料や香草を加えて、臭みを消して料理を作ることが多かったです。
 若い頃から素材の良し悪しを見極め、何と組み合わせ、どういう調理法が一番旨いかを考えることが、フランス料理の基本だと思います。
 先輩からは、「2種類のレシピがあったなら迷わず難しい方を選んで作りなさい」「人の嫌がる仕事でも、自分から進んでやりなさい」と言われました。
 今、私にできることは、先輩方の残してくれた料理を若いコックさんたちに伝えることだと思っています。

【プロフィール】
1955年3月 千葉県館山市生まれ
1973年3月 株式会社精養軒入社
1999年2月 同社船堀店料理長
2001年10月 同社上野本店副料理長
2009年10月 同社上野本店宴会料理長
現在に至る

【所属団体】
社団法人東京都司厨士協会 会員
トックブランシュ 会員

【受賞歴】
1985年 社団法人全日本司厨士協会 銅メダル
2004年 社団法人全日本司厨士協会 銀メダル
2007年 東京都都知事賞
2009年 社団法人全日本司厨士協会 功労賞

【上野精養軒のご案内】
 精養軒は、西洋料理の草分けとして、明治5年4月、東京・築地に創業いたしました。その後、上野公園開設に伴い、明治9年に支店を開業。これが現在の「上野精養軒」です。当時は、内外の王侯貴族や名士たちが馬車で駆けつけ、鹿鳴館時代の華やかな文明開化の一翼を担う会場として栄えました。今日までに培った信頼と実績を基に、常に感謝の心を忘れず、ウエディング、ご宴会を始め、様々なレセプションプランをご提供させて頂いております。

【グリル フクシマ】
 明治の文豪がこよなく愛した伝統の味を今に受け継ぐメインダイニング。不忍池の眺望と、本格的なフランス料理をお楽しみいただけます。
営業時間 11時~21時(LO20時) 
席数 92席

グリル フクシマ
グリル フクシマ

【カフェラン ランドーレ】
 「ハヤシライス」で親しまれているレストラン。開放感溢れるテラス席でのお食事やくつろぎのティータイムをお楽しみください。3月末からは、屋上で食事ができ、夏はビアガーデンも行っており、夏の夜風に吹かれながら心地良いひとときが過ごせます。
営業時間 喫茶10時(食事11時)~20時 (LO19時)
席数 130席

カフェラン ランド―レ
カフェラン ランド―レ

上野精養軒
東京都台東区上野公園4-58
TEL03-3821-2181
http://www.seiyoken.co.jp/



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