2013/5/20

土が健康であれば、育つ野菜も、食べる人も健康になる

農園たや 代表 田谷徹さん

農園たや 代表 田谷徹さん
農園たや 代表 田谷徹さん

福井県福井市で6代続く農家に生まれる。22歳から3年間青年海外協力隊としてインドネシアで農業指導を行い、その後インドネシアのボゴール農科大学大学院で農村社会学を2年間学び、帰国。7年前、娘の誕生をきっかけに始めた自家菜園で虫や微生物の動きを観察しているうちに自然界の循環について考えるようになる。2年前から20代、30代の農業従事者による勉強会「田谷ゼミ」を始めた。38歳。

福井県嶺北地区、福井市高屋町にある「農園たや」の代表の田谷徹さんは、すべての土台となる「土作り」にこだわっている。
約20年前から堆肥による農業をしていた田谷さんの父らが、1997年に近隣農家7軒で堆肥組合を作り、共同で堆肥を作り始めた。試行錯誤の末、田谷さんは通常の5倍の堆肥を土中に入れている。

土を生き物としてとらえる

「プロに土壌診断してもらうと『アンバランスですね』って言われるんです。窒素、リン酸、カリがどれだけ増えてというのは土の個性ですから、調整しません、というか、有機肥料ではほとんど調整できないんです」

農園たやの野菜は、野菜の細胞壁を作る物質計算値が通常より2割多く、野菜自体が病気に掛かりにくい。虫も食べにくくなるので、農薬散布の回数を減らせる。「うちの野菜は味が濃いですねとよく言われます」と田谷さん。作物の健康は味にも良い結果をもたらすのだ。「足したり、引いたりじゃないんだなと最近良く思います。土、つまり土台をしっかりすれば、育つ作物が健康になり、それを食べる人も健康になるのです」。

僕らが欲を出すと、害虫が動き始める

ビニールハウスの中のベビーリーフの畑を見せてもらった。

田谷さんが出荷するミックスベビーリーフは、夏季は7種類だが、立冬から立春(2月4日頃)までは冬季限定バージョンで11種類も入っているそうだ。田谷さん曰く、冬の方がベビーリーフはおいしいそうだ。「暑い夏はその分成長が早く、2週間くらいで収穫できますが、苦味が強い。冬は1カ月半掛かってゆっくり成長する分、甘みや風味も出てくる。色も冬の方がきれいです」。どれも味の濃いベビーリーフはそのままかオリーブオイルと塩で十分だ。「飾りではなく主役になる味を作っています。これが福井スタンダードです」と田谷さんは笑う。

ベビーリーフには水を一度しか与えない。土は濡れていても良いが、葉っぱが乾いていないと菌が繁殖しやすくなるからだ。だからこそ、堆肥で保水性、通水性の高い土を作ることが求められる。土をギュッと握ると固まるが、指で押すとホロホロとほぐれてしまう。これが理想形なのだそうだ。気温が15度になると虫が動き出すので、ビニールハウスを開け閉めしながら室温を調節する。「植物は暖かい方が成長が早いのですが、僕らが早く収穫したいと欲を出すと、土壌中や周りで仮死状態になっている害虫が動き出します」。

野菜を収穫し終えると、葉っぱ一枚残さずにきれいに掃除する。それらはすべて堆肥集積場に持って行き、発酵させて堆肥として使うので、ゴミはほとんど出ない。「土壌の掃除に時間を掛けるから、消毒をしなくていいんです。山の中を見ていると、発酵されたものが土の中に入って行くのが自然。だだっ広い畑にベビーリーフだけが植わっていること自体が不自然なのに、更に生の葉が土中にあるなんて自然界ではあり得ないこと。害虫は不自然なものを排除しようとやって来ます。そこで、害虫を食べる天敵がつく麦を圃場の入り口に植えて天敵が害虫を食べるように仕向けています」。

仲間とシェアすることで、情報が入って来る

約2年前に田谷さんは「田谷ゼミ」と称した勉強会を始めた。週1回12時15分〜13時までの昼休みの時間に、20代、30代の農業従事者が10〜20人集い、本を読むなどして研究発表をし、それについて皆でディスカッションする。
仲間と協力し合うことで、新たな力が生まれる。山から吹く冷たい風の中で聴く田谷さんの言葉に、日本の農業を照らす光が見えた気がした。

農園たや 
福井県福井市高屋町42-87
Tel&Fax:0776-55-0129
HP:http://www.nouentaya.com/


農園たやの野菜はホームページから、
もしくは築地場外市場にある
角商(03-5148-0707)で購入できる


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