2015/5/20

瀬戸内食材発見

瀬戸内には、まだまだ私たちが知らない魅力が眠っている

先人たちの叡智に触れる賀茂鶴酒蔵

2018年に会社設立100周年を迎える(賀茂鶴命名は145年)、広島県が誇る酒蔵の一つ。杜氏熟練の技を確実に伝承し、お米の旨味を大切にした酒造りは、多くの名店に愛される。山田錦を32% まで磨いた大吟醸酒は秀逸。

●酒蔵の入り口にある木ごしき(米を蒸す道具)は、恐らく日本一の大きさ。1度に3トンほどを蒸すことができる。木ごしきは余分な水分や、蒸気を吸ってくれる。ステンレスだと周りに凝縮してしまい、いい麹ができない。
●現在の麹室は、昭和初期に作られたもの。籾殻で外部と断熱し、常に約30度の一定に保たれている。昔、女性が室(ムロ)の中に入れてもらえなかったのは、中が暑いので、外に出ると風邪をひいてしまうという気配りだったとも言われている。杉ばりなので、抗菌作用もある。ステンレスだと水が凝縮してしまい、雑菌の巣になりやすい。先人たちは科学的情報がない時代にも、知恵によって杉が有効であることを知っていた。
●酒母室で酵母を増殖させる。20数度が増殖しやすいが、それだと弱い酵母になってしまう。人間が気温の変化に応じて服を脱ぎ着するように、酵母も温度の変化で細胞壁を変化させる。急激な温度変化に耐えうる酵母を目指し、約2週間をかけて酒母を育て上げる。
●醪発酵室では、雑菌で汚染されないように一度に原料を加えず、初添え(1日めの仕込み)・踊り(翌日は何も加えず酵母の増殖を待つ)・仲添え(3日めの2回めの仕込み)・留添え(4日めの3回めの仕込み)と順を追って行う。
●江戸末期には造り方ができあがっていた。微生物の存在を知らなくても、先人たちはそのやり方を踏襲し、作り上げたと言える。〈賀茂鶴酒蔵株式会社 取締役副社長・製造本部長 荒巻功〉

醪発酵室
醪発酵室

瀬戸内の地の利を広島レモン

約100年ほど前に始まったという広島レモンの栽培。かいよう病に弱いレモンだが、風も気候も穏やかである瀬戸内海は、その栽培に非常に適していたと言える。葉から薫り立つフレーバーも、料理に使えそう。

●防腐剤を使用していないところが、海外との大きな違いである。農薬基準も守り、安心・安全を心がけている。
●年中提供ができるようにグリーンレモンも出荷し、またハウス栽培も行っている。グリーンレモンはフレッシュで、イエローになるにつれてまろやかな味に。ただ、グリーンレモンは早い時期に収穫すると白い部分が多い。また、いっせいに収穫する他の柑橘類とは異なり、レモンは55mmになったら収穫する。トゲがあるので注意して収穫する必要がある。
●酸が5〜6度なので感じにくいが、実は糖度も8.2度ほどある。また、みかんの葉は香りがしないが、レモンの葉は香りが大変強い。
●作業性を考慮し、樹々の間には軽トラックが入れる幅を設けている。木の勢いが強いので、抑えるように剪定もしなければならない。
●昨今では、他と同様に栽培農家の高齢化が懸念されている。〈JA広島果実連 業務部 指導課 技師 榎屋勝士〉

農薬基準も守り、安心・安全を心がけている
農薬基準も守り、安心・安全を心がけている

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