2009/9/18

Vol.1
パイオニア エコサイエンス株式会社

語り:郡司裕子氏


 日本人の嗜好や日本の風土に合ったトマトの種子を販売したいというパイオニア エコサイエンス(株)の竹下達夫社長と、トマトの世界的イタリア人ブリーダー、マウロ氏との運命的な出会いにより「マウロの地中海シリーズ」が誕生した。

マウロの地中海シリーズ 第一弾 『シシリアンルージュ』誕生

 「ヴィーナス(女神)の口紅」という由来を持つ真っ赤な調理用トマト「シシリアンルージュ」。今でこそ、スーパーなどで目にするようになったが、市場に出回り始めたのは約3年前。「トマトは生で食べるもの」という文化のある日本で、当初「調理用トマト」の紹介は一筋縄では行かなかった。しかし、調理した時の味への絶対の自信と、“トマト料理は食べるけれどトマトからの料理をすることが少ない”日本での未知なる可能性にかけ、紹介をし続けたという。
 
 パイオニア エコサイエンスは、園芸種子を販売する会社で、トマトそのものを売る会社ではない。しかし、販売先がなければ農家が栽培に取り組むこともできない。同社の郡司裕子氏は入社後間もなく、シシリアンルージュのマーケティングを担当することになった。スーパーの売り場に立ち、調理をして試食販売を行ったり、市場やレストランに営業に回りながら、青果物を紹介し、消費者やシェフ達の生の声を集めていった。 

塩とオリーブオイルだけで短時間でソースが作れる


 シシリアンルージュの特徴は、調理してもトマトの中の水分が逃げず、オリーブオイルやサラダオイルを果肉の中に取り込む性質にある。グルタミン酸がピンク系大玉トマトと比較して約3倍含まれているため、コンソメスープやタマネギを加えなくても、塩とオリーブオイルだけで十分に深みのあるトマトソースが作れる。オリーブオイルと炒めると吸収率がアップするリコピンは、ピンク系大玉トマトと比較して約8倍も含まれているため、特に女性の関心が高い美肌・美白をメニューで謳うこともできる。調理上のメリットは、水分が少ないため、パスタを茹でている間にトマトソースができてしまうことだ。
 
 特にその味を高く評価したのが、東京・表参道にあるイタリア料理店「カ・アンジェリ」の佐竹弘シェフ。今では農家直送でシシリアンルージュを送ってもらい、ディナータイムに限り、“シシリアンルージュ”のフルコース(5000円、税サ別)を出している。前菜からデザートまでシシリアンルージュを使った料理で、女性のリピーターで店内は多く賑わっている。

シシリアンルージュとバジリコのスパゲティ
シシリアンルージュとバジリコのスパゲティ

 一見、イタリアンがメインと思われがちのトマトだが、和食では炊き込みご飯や串焼き、洋食ではピザやパスタやシチュー、中華では卵とトマトの炒め物や小籠包の中に入れてもピッタリだ。まさに、料理人のイマジネーションが加速させるトマトである。

マウロの地中海シリーズ 第二弾
子どもが食べやまない 『ピッコラルージュ』『ピッコラカナリア』


  マウロの地中海シリーズの第2弾として販売された赤色の「ピッコラルージュ」とオレンジ色の「ピッコラカナリア」は、生食専用のミニトマト。特徴は、甘みが強く、高濃度。
ピッコラルージュは、甘味と濃度が重なった、しっかりとした味わい。ピッコラカナリアは口に入れた時にびっくりするほどの甘みが強く、とろけるような食感。ベーターカロテンも普通のオレンジトマトの2倍ある。
 郡司氏がスーパーで試食販売を行っている時、トマトが苦手な子どもが次から次にと口に入れて止まらなくなってしまったといいう。キンカンのような濃厚なオレンジ色に思わず目が行き、記者も試食したが、フルーツのような甘みと薄い皮に、これならトマトが嫌いな子どもでも思い切って挑戦し、食べられるようになるはずだ。


マウロの地中海シリーズ 第三弾
ワインを思わせる9月発売の新商品~ブドウをテーマに開発されたトマト~ 『トスカーナ バイオレット』『ルージュドボルドー』


 9月から新発売の「トスカーナバイオレット」と「ルージュ ド ボルドー」。
つややかな紫色のトスカーナバイオレットは、一見するとブドウの巨峰のようにも見える。皮も果肉も柔らかく、口に含むと芳醇な香りと味が感じられ、ワインを飲んでいるような気持ちになる。
 「基本は生食ですが、ベジスイーツに使っても良いですね」と郡司氏。
 ルージュ ド ボルドーは甘みを抑えたすっきりとした爽やかな味わいで、まるで昔のトマトを食べているような郷愁が感じられる。皮がしっかりしており、日持ちが良いのも調理する側からすると嬉しい特徴だ。ヘタが星型のため、見た目が可愛らしい。


 中身の色も特徴的。左がピッコラカナリア、右がトスカーナバイオレット
 中身の色も特徴的。左がピッコラカナリア、右がトスカーナバイオレット

産地を訪ね、信頼関係を結ぶ 

 現在、「シシリアンルージュ」の栽培は日本全国的に産地の拡大が進んでいる。 特に力を入れているのが秋田県の横手市で、市をあげて加工品を含めたシシリアンルージュの特産化に取り組んでいる。
 また、産地をリレーし通年出荷しており、大田市場、築地市場、淀橋市場、横浜丸中青果(株)より取扱いが可能。 ピッコラルージュ・ピッコラカナリアは産直の対応になるが、通年出荷が可能。
 トスカーナ バイオレットとルージュ ド ボルドーはまだ試作段階のトマトで、直売所での取扱いが多いが、一部、産直での対応が可能である。

 日本人の1人当たりの1日のトマトの摂取量は約25gだが、第1位のギリシャでは 約310gである。この違いはトマトを生食で食べるか調理して食べるかどうかだ調理をすることで、日本では普及の可能性が多いに見込めるトマトである。
「シシリアンルージュは、消費拡大に大きく貢献でき、農家にとっても、消費者にとっても、流通業者にとってもおいしいトマトである」と、普及に力を入れてきた郡司氏は言う。
 郡司氏は、産地を訪ね、地域・生産者と共にお互いの信頼関係を結び、それと同時に都内で紹介した先や消費者の声などをしっかり生産者の方々に届ける。「明日は山梨に行って来ます」と笑顔で語った。

※「マウロの地中海シリーズ」に関するお問い合わせは、パイオニア エコサイエンス(株)郡司氏まで。本社住所/東京都港区虎ノ門3-7-10ランディック虎ノ門ビル7階 電話/03-3438-4731
 

パイオニア エコサイエンス株式会社
ブランド マーケティングチーム 郡司裕子氏

20歳から6年間和食レストランに勤務。その後、パイオニア エコサイエンスに転職。 シシリアン・ルージュのマーケティングを担当し、日中はほぼ外出することに。前職の経験と人と接することが好きな性格を生かし、マウロの地中海シリーズの普及のために駆け回っている。仕事上のモットーは「一生懸命、ひたむきに」。

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