2011/8/20

福島県食材×ホテルメトロポリタン(2)

食材の宝庫 会津若松

原発の問題は落ち着く気配を見せず、風評被害は今なお福島を苦しめている。そんな中「できることがあれば」と、ホテルメトロポリタンの全面的な協力のもと、あらためて福島食材のおいしさを実証する試食会が実現。フランス研修から帰国したばかりの、気鋭の小林シェフが、会津食材の新たな一面を開いた。

会津地鶏の低温調理レンズ豆の煮込み添え
会津地鶏の低温調理
レンズ豆の煮込み添え

網焼きの調理技法が多いが、
骨付きで低温調理したことで肉が縮まらず、
旨味がそのまま残った

会津産白い発芽胚芽米イカスミのアランチーニ
会津産白い発芽胚芽米
イカスミのアランチーニ
もうひとしぼりのアイスクリームとべこの乳ヨーグルトムース
もうひとしぼりのアイスクリームと
べこの乳ヨーグルトムース

イカスミとアレンジすることで、鮮やかにイタリアンに生まれ変わった。米自体の味もしっかりと残している。

素材をできるだけそのままに作られた。パティシエによるほんの少しのアレンジで、美味しいデザートへと昇華。
 

●会津地鶏
平家の落人が連れて来たとも言われるニワトリ。もともとは繁殖が難しい品種だったために、1980年代には数が減少し絶滅の危機に瀕したが、増殖に成功して今に至る。廃棄物を堆肥として作られた白菜を乳酸発酵させ、餌としている。適度な歯ごたえと脂肪があり、鶏肉本来の味が味わえる。地元では焼き鳥として好んで食されている。

●白い発芽胚芽米
玄米から外側のぬか層を取り除くことで、ゴワゴワ感がなくなり、炊飯後の香りも気にならない。また消化・吸収率の向上にもつながっている。

●べこの乳
多くの超高温殺菌(130度で2秒間)とは違い、ゆっくりと殺菌(85度で15分間)されて作られる。生乳本来の風味が生きており、甘みがぐっと凝縮されている。今回の調理に使われた「もうひとしぼり」は中でも特濃の牛乳。牛乳から水分を抜いて乳脂肪分を4.7まで濃くしたもの。これによって、風味は変わらずにコクが生まれる。

●ぷちぷち
1850年創業という老舗の酒造元によって開発された微発泡酒。粗搾りしたお酒を瓶詰めし、瓶内発酵で出てきた自然の炭酸ガスを閉じ込めている。底で白濁しているのはもろみ。アルコール度数7.8%のさわやかな甘口。
 

料理をお作りいただいたシェフ

ホテルメトロポリタン
キュイジーヌ「エスト」・ダイニング&バー「オーヴェスト」料理長
小林 明氏
ホテルメトロポリタン
キュイジーヌ「エスト」・ダイニング&バー「オーヴェスト」料理長
小林 明氏

ホテルメトロポリタン
キュイジーヌ「エスト」・ダイニング&バー「オーヴェスト」料理長
小林 明氏

大切に育てられていることが伝わってくる素晴らしい素材でした。山梨出身なので馬刺しには馴染みがあり、やはり刺身で食べたい。また鳥は焼鳥、牛は網焼きがおいしいと思う。しかし僕らが何をできるかを考え、敢えてアレンジをした提案をさせて頂きました。

ホテルメトロポリタン取締役 調理部長 総料理長井田 仲弘氏
ホテルメトロポリタン取締役 調理部長 総料理長井田 仲弘氏

ホテルメトロポリタン
取締役 調理部長 総料理長
井田 仲弘氏

この震災を経て、第一次産業の農家、漁業、畜産の方々がいなければ料理はできないんだなと、強く感じました。福島は福の島ですから、一生懸命やっていれば福は必ず来ると信じています。

ホテルメトロポリタン製菓・製パン 料理長迫 広志氏
ホテルメトロポリタン製菓・製パン 料理長迫 広志氏

ホテルメトロポリタン
製菓・製パン 料理長
迫 広志氏

ヨーグルトはそのままでもおいしいのですが、少量のゼラチンと生クリームを入れて軽く柔らかく仕上げました。牛乳も砂糖を少量入れて回して固めただけ。彩り、デザインだけ考えたようなものです。

 

●協力:ホテルメトロポリタン
 〒171-8505 東京都豊島区西池袋1-6-1
 TEL:03-3980-1111

 

食材をご提供頂いた福島県の方

会津若松市 観光商工部商工課 副主幹吉川 信氏
会津若松市 観光商工部商工課 副主幹吉川 信氏

会津若松市 観光商工部
商工課 副主幹
吉川 信氏

農産物の出荷制限は解除されたものの、全てが危ないと思われている現状です。これからも各地で安全性をアピールするとともに、会津の飲食店でも東京のシェフのレシピを提供するなど、企画を進めていきます。

食材に関するお問い合わせ先

会津若松市 観光商工部 商工課
〒965-8601 福島県会津若松市東栄町3-46
TEL. 0242-39-1252
FAX. 0242-39-1433
 
 

 

今回は福島県から会津若松市の職員の方々4名、企業の方々6名が来られ、熱く食材の説明をされた。ご参加の4名のシェフ、また、料理を担当されたホテルメトロポリタンのシェフの皆さんからは同様に、一つ一つの食材への賞賛の声が聞かれ、会津若松地方の豊富な食材が再認識される場となった。食事は和やかに進んだが、一人一人のお話しの場面では、やはり震災後のご苦労や心痛などが赤裸々に語られた。そんな中においても、変わらず生産を続けておられる現地の方々を、これからも何らかの形で支援できればと思う。


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