2011/9/9

食の話題を独占する北欧

料理界のアカデミー賞とも称される、イギリスの「レストラン・マガジン」による「ワールド・ベスト・レストラン50」がこの4月に発表され、33才のシェフ、レネ・レゼピが率いるデンマークの「noma」が昨年に続き連続1位を獲得した。

「ワールド・ベスト・レストラン50」のチーム「noma」。中央は、シェフのレネ・レゼピ
「ワールド・ベスト・レストラン50」のチーム「noma」。中央は、シェフのレネ・レゼピ

コペンハーゲンの辺鄙な旧倉庫街にある同店は、飾り気のない土壁と素朴な木製テーブルや椅子、地域の旬の食材を活かした伝統的な料理法で作る健康に良い北欧料理、モダンで繊細なテイスト、斬新なプレゼンテーション、料理人自らがテーブルに運んでくるサービス、リーズナブルな価格などで、瞬く間に人気となり、昨年、5年間不動の1位、2位を堅持していた「エル・ブリ」や「ザ・ファット・ダック」などを押さえ、一躍トップに躍り出て世間をびっくりさせたのは記憶に新しい。外食文化のなかったデンマークに世界中からの客を集めて、今世界で最も予約の取れない店となっている。
 

「ボキューズ・ドール」世界料理コンテストで優勝したデンマークチーム
「ボキューズ・ドール」世界料理コンテストで優勝したデンマークチーム

また、デンマークは、1月にフランス・リヨンで行われた世界的な料理コンテスト「ボキューズ・ドール」でも優勝、その力が確かなことを印象づけた。
デンマークでは、世界一厳しいといわれる食品品質基準であり、食品の製法から健康に関与する基準値までを表示する「オネスト・フード」制度を国が推進しており、これらと連動して、「料理のデンマーク」が絶好調だ。
ちなみに、同大会の2位はスウェーデン、3位ノルウェー、かつてフランスのシラク大統領に「英国料理はフィンランド料理の次にまずい」と世界一料理がまずい国の烙印を押された北欧のフィンランドは5位に輝き、上位5位中4タイトルを北欧勢が独占した。

料理のモードは、一世を風靡した「分子ガストロノミー」から、「シンプルで健康に優しい料理」へとシフトしているようだ。今しばらくは、北欧料理から目が離せそうにない。
 

 

写真上:「ワールド・ベスト・レストラン50」のチーム「noma」。中央は、シェフのレネ・レゼピ。写真下:「ボキューズ・ドール」世界料理コンテストで優勝したデンマークチーム。
 


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