2011/8/20

赤いルバーブ

長野県富士見町食材×學士会館「ラタン」

ルバーブと言えばデザートというイメージをお持ちの方も多いのではないだろうか。「料理に使ったのは初めて」と言いながらも、月に1度、1種類の野菜で、前菜からデザートまでを表現する「エコディナー」を行っている大坂勝シェフの手に掛かると、長野県富士見町の赤いルバーブの可能性は、こんなにも大きく広がった。
 

ルバーブのサラダSalade Rhubarbe
ルバーブのサラダ
Salade Rhubarbe
フォアグラととうもろこしのルバーブソースFoie gras poêlè et maïs sauce Rhubarbe
フォアグラととうもろこしのルバーブソース
Foie gras poêlè et maïs sauce Rhubarbe

生のルバーブを味わい、色を楽しむための一品。丸1日陰干ししたルバーブを薄く切って、レモン汁を入れた水で30分ほどさらしてアクを抜く。ソースはリエ(濃度を出す)したポン酢とハーブソースで。

甘いソースと好相性のフォアグラにルバーブを合せた。ソースは、陰干ししたルバーブをバターでソテーし、フォンドヴォーにハチミツを加えて少し煮詰めたもの。重量感のあるフォアグラを、ルバーブの酸味が軽やかにする。

 
キリシマポークと生ハムのロティPorc roti et jambônen
キリシマポークと生ハムのロティ
Porc roti et jambônen
白身魚のルバーブ包み ブールブランソースBlanc de poisson en Rhubarbe sauce Beurre Blanc
白身魚のルバーブ包み ブールブランソース
Blanc de poisson en Rhubarbe sauce Beurre Blanc

キリシマポークを焼いた上にルバーブのピューレとハモンセラーノをかぶせてもう一度焼く。ソースは、デミグラスソースをベースにルバーブのピューレを加えた。ソテーして軽く生クリームで煮たルバーブを飾りに。

ルバーブを薄く切ってスズキに巻き、レモンをのせて蒸した。酸味の強いソースであるブールブランソースの配合をエシャロット半分、ルバーブ半分にし、印象的なピンク色を表現。ピンクペッパーを散らして、アートな一皿に。
 

★ルバーブって、なに?

シベリア原産の多年草のタデ科の植物で、原産地からも分かるように寒さにとても強い。赤いルバーブは現在、北海道の一部と冷涼な気候を持つ長野県富士見町で栽培されている。

富士見町では寒暖の差を生かし、約20軒の農家が無農薬栽培を行っており、5月下旬から収穫できる春のルバーブは酸味が強く、瑞々しさが強い。秋になり気温が下がると赤い色が際立ち、酸味が柔らかくなる。11月初旬まで収穫できる。

硬い茎や見た目からは想像ができないが、熱を加えるとすぐに柔らかくなるのが特徴。食物繊維、カリウム、アントシアニンが豊富で健康食品としても注目を集めている。

★大坂シェフの調理のポイント
陰干しすると加熱しても崩れにくい
アク抜きはレモン水で30分間
ルバーブは、そのまま加熱すると崩れやすいのですが、陰干しすると余分な水分が抜けて、崩れにくくなります。アクを抜くにはレモン水につけると良いです。様々な調理法を試した中で一番おいしかったのは、焼くのとソテーでした。
 

ルバーブのスープSoupe de Rhubarbe
ルバーブのスープ
Soupe de Rhubarbe
若鶏とルバーブの煮込みPoulet à la Rhubarbe
若鶏とルバーブの煮込み
Poulet à la Rhubarbe
ルバーブのタルトTarte au Rhubarbe
ルバーブのタルト
Tarte au Rhubarbe

★長野県富士見町とは?
長野県八ヶ岳山麓にある富士見町。山梨県の小淵沢駅からは車で8分、信濃境駅からは6分の距離。標高1955mの花の百名山、入笠山の山頂は360度の大パノラマが広がり、日本百名山のうち22の山々を見ることができる。高山植物が咲き乱れ、100万株以上のスズランが自生する入笠湿原や3億年前に形成された大河原湿原など、大自然と親しむ観光スポット。入笠山の裾野に広がる富士見パノラマリゾートではマウンテンバイクやパラグライダーも楽しめる。
 

料理をお作りいただいたシェフ

大坂 勝Masaru Osaka學士会館 総料理長
大坂 勝
Masaru Osaka
學士会館 総料理長

大坂 勝
Masaru Osaka
學士会館 総料理長

どの食材でもそうですが、煮る、焼く、蒸す、揚げる、ソテーなどを試してみました。いずれも酸味が残りましたので、それをルバーブの特徴として生かす料理を考えました。食材の持つ苦味やえぐみといった独特のクセも年齢を重ねるとおいしく感じてくるもの。ルバーブ本来の特徴をうまく表現して、良さを分かってもらえるようにと思いながら、7品を提案しました。
 
 

右からラタン )田中薫さん、金子慎介さん、岡沢恭平さん
右からラタン )田中薫さん、金子慎介さん、岡沢恭平さん

初めて触った食材ということ、またそれをコースに仕立てるということで、大変難しかったです。しかし、新しい食材を知ることができたと同時に、それをどうアレンジしていくかといういい勉強になりました。

 

 
●協力:學士会館
〒101-8459
東京都千代田区神田錦町3-28 
Tel:03-3292-5936


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