2012/3/9

調理場は、料理のことだけを学ぶ場所じゃない

資生堂パーラー 横浜高島屋店 齋藤雅章さん

資生堂パーラー 横浜高島屋店 齋藤雅章さん
資生堂パーラー 横浜高島屋店 齋藤雅章さん

資生堂パーラー横浜高島屋店で働く齋藤雅章さんの父親は、栃木県宇都宮市で洋食レストラン「キマグレイチバ」を営んでいる料理人だ。齋藤さんが子どもの頃、自宅の1階で店を開いていたため、齋藤さんは小学5年生の時から洗い場を手伝い、小遣いをもらっていた。

父の作る料理で好きだったのはオムレツ。自然な流れで、調理師免許が取得できる高校の調理師科に入学したが、学校での勉強以上に父の仕事ぶりの方が印象に残っているそうだ。「母がホールの責任者だったのですが、時にはホールと調理場でケンカをすることもありました。それを見て、どちらも仕事に対して真剣なんだ、と思いました」と齋藤さんは当時を振り返る。齋藤さんもある日、ビーフシチューに生クリームを垂らそうとしたらふたが大きく開いて入れすぎてしまい、父に包丁のミネで頭をはたかれた。その時、齋藤さんは料理に懸ける父の思いを肌で感じ取った。


齋藤さん作のオムライス(1,680円)
齋藤さん作のオムライス(1,680円)

 
齋藤さん作のオムライス
ベテランでも失敗することがある難しいメニュー。本人曰く「80点の出来」だそうだが味は100点でした

親父の店を継ぐか、独立か。悩む位置にも立っていない

「歴史のある店で調理の基本を学びたい」と思い、資生堂パーラーに入社後、横浜高島屋に配属された。まず初めに覚えた仕事は、気遣い。自分の仕事をやりつつ、先輩の仕事もサポートする。朝は7時に出勤し、スタンバイ、卵を割ったり、ハンバーグをこねたり、サラダを作ったりと仕込みをしながら10時に食べる賄いを作る。資生堂パーラーで修業し、将来的には栃木に帰って店を継ぐか、東京で自分の店を出したい……と言いかけて、「まだ悩む位置にも立っていない」と口元を引き締めた。
 

「調理場は、料理だけを学ぶところではないのかな、人間的に成長できる場所なんじゃないかなと思います。飲みに行った時にも、よく先輩に指摘されました。相手のお酒がなくなったら注ぐとか。そういう周りを見ることも大事なんだと思います」

今年の1月から、休日には資生堂パーラー本店で勉強している。野菜の形を合わせて細かく切ったり、ソースの作り方を一から教わっている。「俺のためにわざわざ考えてくれているみたいで有り難いです。普段、包丁を使うことがあまりないので、細かい作業が慣れなくて大変ですが、朝の仕込みを覚えようと思っています」。休日には父の店を手伝うこともある。

「忙しい時にやりがいを感じる。そんな時の厨房が嫌いじゃない」という齋藤さんに、大物になる素質を感じた。


 
資生堂パーラー 横浜高島屋店

〒220-0005
横浜市西区南幸1-6-31横浜高島屋 6階
TEL:045-313-6564

資生堂パーラー 横浜高島屋店
資生堂パーラー 横浜高島屋店

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