Vol.52
三浦　健史 Ｋenji　Ｍiura
オマール海老と帆立貝のマリネに聖護院
かぶら　サラダ仕立て
オレンジ香るキャロットピュレとクミン風味のエキューム

Salade de marinés de homard et de St-jacque en navet de"Shogoin"cuit, purée de carotte à l'orange et écume
de lait au cumin
ザ・プリンスパークタワー東京　/　東京プリンスホテル

【作り方】

【調理の要点・ポイント】

・オマール海老は、テールを直に伸ばしボイル、爪とともに身を取り出す。テールは6枚、爪は4枚にカット、残りの部分は角切りにしておく。軽く味をしてオレンジ風味のヴィネグレットでマリネする。
・ホタテ貝は、ポシェし、1/2にスライス、軽く味をして同様にマリネする。
・聖護院かぶらは、5cm角×7mm厚にカットして、スチームにかけ冷やし、塩、胡椒しておく。
・サラダを用意し、角切りのオマール海老を合わせておく。
・オレンジからフィレ4枚切り出しておく。
・オレンジのゼストは、シロップで煮た後、乾燥させてミルサーで粉末にする。
【キャロットピュレ　オレンジ風味】
キャロットの芯の部分を取り除き、カットして、バターとグラニュー糖とともにグラッセ同様に加熱し、ピュレにしパッセする。オレンジジュースを1/2に煮詰めてコーンスターチでリエし、キャロットピュレとを合わせ、ホワイトバルサミコを加え、味を調える。
【キャロットチップ】
キャロットは、鋭角な三角形にスライスし、ボイルしたのち、トレハロースシロップにつけ、乾燥させる。軽くフライにして、トヨ型にのせ、形を整える。
【オレンジヴィネグレット】
オレンジとレモンのジュースを1/4に煮詰め、白バルサミコを合わせて、オリーブオイルでヴィネグレットにする。
【クミン風味のエキューム】
鍋にミルクを入れ、クミンを加えてアンフュゼする。大豆レチシンを溶かし、泡立てる。
【盛り付け】
長方形の型に聖護院かぶらを敷いて、ヴィネグレットで味をしたサラダを入れ、オマール海老、ホタテ貝、オレンジフィレを詰めて、スクエア皿の中央に盛り込み、型から外す。キャロットピュレを流し、キャロットゼストプードルをライン状に盛る。オマール海老の上にキャロットピュレを少しかけて、その上にキャロットチップとセルフィーユを飾る。クミン風味のエキュームとオレンジヴィネグレットをかけ、仕上げる。

【後進へのメッセージ】
私が高校卒業後、社会人として、そして、料理人としてスタートし2～3年が経ったとき、その時の料理長が「料理は一生勉強です。だから素晴らしいし、やりがいもある。」とおっしゃっていた。当時の私はあまり理解することが出来ませんでした。上司や先輩に迷惑をかけないように必死で仕事をしていましたし、苦しくて本気で辞めようと思った時もありました。30代、40代になっても任されているそのステージで苦しいことも多くあります。その苦しさや必死で仕事をしたことが今に繋がっていると思っています。私はよく部下に「苦しいときは伸びているときだから、がんばれ！」と言いますが、前に進もうとして苦しいときは日頃の何倍も成長している時期であると（経験を通して）思います。コンクール出場などは、まさにそのものです。日頃の多忙な業務に加えて、自分のコンクール料理のことをするのは非常に苦しみが伴います。その苦しみが成長の加速と大きな喜びに代わる。今の同世代の料理人がいろいろなところで必死に頑張っていることを大きな糧として、努力を惜しまず成長してほしいと思います。成長し、シェフになり、自分自身でメニューを考え、お客様に接するようになっていくと（よく言われる）「料理は愛だ」といったことも「なるほどその通りだ」と感じられると思います。改めて「料理の世界は素晴らしい。一生勉強、やりがい抜群だ」と伝えたい。国際化が加速して進んでいる今、ぜひ伝統的な技法や日々習得している知識をベースにタンパク質の加熱温度は？　などのロジカルな思考も取り入れ、柔軟に対応し、成長してほしいと思っています。語学、特に英語の習得にも目を向けて、今まさに感じられる、この国際化の大きな波を乗り越え、次世代を輝かしいものにして下さい。

【プロフィール】
1965年　京都生まれ　
1983年　京都府立朱雀高等学校卒業
株式会社京都ホテル入社 　フランス料理「ラ・メール」勤務
1992年　大津プリンスホテル入社 　フランス料理「ボーセジュール」勤務
1996年　プリンスホテル料理コンクール 魚料理部門優勝
1997年　第6回SOPEXA全国料理コンクール ファイナリスト（決勝進出）
2001年　第35回ピエール・テタンジェ料理賞コンクール ファイナリスト（決勝進出）
2003年　第37回ピエール・テタンジェ料理賞コンクール 準優勝
2003年　第10回ボキューズ・ドール国際料理コンクール日本本選 準優勝
2004年　大津プリンスホテル「フランス料理　ボーセジュール」シェフに就任
J.S.A公認ワインアドバイザー資格取得
2004年　第38回ピエール・テタンジェ料理賞コンクール 準優勝
2006年　第22回世界料理オリンピック（2008年）日本代表ナショナルチームに選抜される。
2007年　ロシア　クレムリン国際料理大会にナショナルチームとして出場し、2部門とも金メダルを受賞
2008年　ドイツにて開催された料理競技大会の最高峰「第22回世界料理オリンピック」に日本代表ナショナルチームの一員として出場。ホットレストラン競技で銀メダル、コールドディスプレー競技で銅メダルを獲得。
2010年　西洋料理専門調理師資格取得
2011年　グランドプリンスホテル京都 レストランボーセジュール料理長就任
2012年　「第23回世界料理オリンピック」日本代表ナショナルチーム　キャプテンに抜擢。
ホットレストラン競技で銅メダル、コールドディスプレー競技で銀メダルを獲得。
2015年　ザ・プリンスパークタワー東京・東京プリンスホテル　総料理長に就任
【表彰】
2005年　（社）全日本司厨士協会　京滋地方本部会長表彰
2006年　（社）全日本司厨士協会　京滋地方滋賀県本部会長技能表彰
2007年　（社）全日本司厨士協会　総本部会長表彰
2008年　（社）全日本司厨士協会　総本部制定アカデミー銅章
2010年　（社）全日本司厨士協会　総本部制定アカデミー銀章
【所属団体】
内閣府認定公益社団法人 全日本司厨士協会 東京地方本部城南地区本部港区支部 副支部長
（社）日本エスコフィエ協会　正会員
トック・ブランシュ国際倶楽部　正会員
クラブ・ガストロノミック・プロスペールモンタニェ日本支部　会員
ＮＰＯ法人 レ・ザミ・ドゥ・キュルノンスキー・ジャポン　会員
関西シェフ同友会　正会員
日本ソムリエ協会　正会員
京都フランス料理研究会　正会員

◆ホテルの紹介（勤務先の案内）◆
【ザ・プリンスパークタワー東京】
大人の夜景スポットへ。都心とは思えない、芝公園の緑の森に囲まれたオアシスのようなホテル。地上33階、603の客室とバカラのシャンデリアを備え付けたボールルームとコンベンションホールの日本最大級の広さを持つ大宴会場・14室の中小宴会場、高品質な料理を提供するレストラン ブリーズヴェールをはじめ、多彩なレストランや東京のホテルでは珍しい天然温泉を兼ね備えたスパ。客室の中で人気No.1のビューバスの角部屋ダブルルームのバスルームからは、お部屋によって東京タワーや素晴らしい夜景、眺望をご覧いただけます。東京ミッドタウンや六本木ヒルズなどの六本木へは、2駅約 3分。汐留・新橋へも2駅約5分。お台場へは、汐留から「ゆりかもめ」で1本や東京タワーへは徒歩でアクセスと、ビジネスや観光の拠点として便利な立地です。
【東京プリンスホテル】
東京タワーを背にゆったりとたたずむ東京プリンスホテル。交通アクセスに恵まれた立地は観光やビジネスの好拠点。各界の著名人に愛されてきた伝統のサービスや、どこか懐かしく、自然と心落ち着く客室は、都心とは思えない緑に囲まれ、都心にいることを忘れてしまいそうなやすらぎを感じていただけます。（東京プリンスホテルは、改修工事を行うため、下記の期間、営業を休ませていただきます。　2016年4月1日（金）～2017年3月31日（金）

http://www.princehotels.co.jp

2016/03/10更新