2020/4/20

サスティナブルディナー

SATOKOのオーガニックな「食」のつぶやき

「サスティナブル」という言葉が使われだしてまだ間もないが、この言葉は急速に社会に浸透してきている。「サスティナブル」とは「持続可能な」という意味で、特に地球の自然環境の維持に役立つ事業や開発、自然環境に配慮した行動を表現する際によく用いられる。国連が2015年に提唱したSDGs(持続可能な開発目標)により、現在日本でもこの17のグローバル目標を達成するためにさまざまな取り組みがなされている。17のグローバル目標にはそれらを達成するための具体的なターゲットがあり、1つの目標に対して平均10個、合計169個で構成されている。また、「誰をも置き去りにしない」という大いなる目標も掲げている。地球は今、環境・持続可能性の点で大きな転換期を迎えている。SDGsは今日の世界が直面するいくつかの喫緊の課題に取り組むためにつくられたが、これは私たちが将来の世代のために暮らしを改善する最大のチャンスだ。SDGsは全人類にとってより持続可能かつ安全で、より豊かな地球を作り上げるという目標の実現に向け、私たち全員の取り組みを求めている。

地に足を付け、風を感じ、雨を味わいながら、四季の移ろいとともに料理する。そんなコンセプトのレストランを先日訪れた。― 全ての食材は自然に寄り添って営んでいる全国の生産者さんから届けて頂いています― オーガニック・スローフードの先駆者 カリフォルニアのアリス・ウォータースの「シェ・パニース」で総料理長を務めていたシェフと日本人シェフとで始めたこのレストランでは、日本全国から届けられたこだわりの食材を使用し、一皿一皿にその想いが込められていた。

17の目標のなかには、
●目標2:
飢えをなくし、誰もが栄養のある食料を十分に手に入れられるよう、地球の環境を守り続けながら農業を進めよう。
●目標12:
生産者も消費者も、地球の環境と人々の健康を守れるよう、責任ある行動をとろう。
とある。とはいえ、環境に配慮すればするほどに、おいしい食べ物は値段が上がってしまう。「食はもっと安く、もっと効率的に提供するべきだ」という反対意見もあるだろう。しかし、実際に農家を訪ね、農作業を見てみれば、どれほど大変なのかを知ることができる。そうして作られた野菜がどんなに貴重なものなのかがわかる。労働に対して正当な対価を支払う必要があると理解し、食物は貴重で大切なもので、無駄にしてはいけないものだと教えていくことが大事なのではないだろうか。

子どもたちに農業体験教育をし、「楽しい」「おいしい」「ありがたい」を食べ物から学ぶ。大切に育てられた農作物をシェフたちが集まって調理し、みんなでテーブルを囲んで食べる。「食べる」ことを心から味わい、喜び、堪能する経験を通して、土地、環境、生物などすべてに対するいたわりや思いやりの心、敬意が芽生えていく。その結果、よい食材は安いものではないと認識し、安く、効率的な食に流されてしまうことはなくなるだろう。そのような食育をわかりやすく魅力的に、よりクリエイティブに発信していくこと、押しつけや義務感からではなく、自然とそうしたくなる、人びとの好奇心を刺激するような工夫も必要だ。そして何より重要なのは、食の問題に一人ひとりが声を上げること。社会を変えていくために自分はどう貢献できるのか。人任せにせずに心からそうしたいと、持続可能で健康的な世界へ意識を向けて行動していくことが、今求められている。
 

石橋さとこ
食育プロデューサー。“Food・Health・Education ”をテーマに、イベントや講演会を多数企画。2017年には「子どもの食を考えよう! 学校給食改革委員会・福岡」を立ち上げる。またオーガニック食材を特別なものではなく日常のものにするために、2019年の秋より福岡・天神にて「福岡オーガニックマルシェ」をプロデュース、好評を博す。持続可能な社会を目指す取り組みのひとつとして「オーガニック」の普及を地元企業と連携して進めながら、学校給食でもより安心安全な食材を使用できるよう活動を続ける。
 

石橋さとこ
石橋さとこ

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